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学習プログラム 取材記録 取材日:2015/07/09
プログラム名 439.「びわ湖 - 美しさと豊かさを永遠に」 “○○ボックス”滋賀県バージョン - 豊かなびわ湖を守るため何ができるかを考える -
プログラム登録者 A0502.滋賀県地球温暖化防止活動推進センター
目的 (1) びわ湖の現状を知る
(2) びわ湖に起こりつつある変化について学ぶ
(3) 将来も美しく豊かなびわ湖であるため、今自分ができることを考える
 2015年7月、滋賀県地球温暖化防止活動推進センター推進員の方々による出前講座「びわ湖 ― 美しさと豊かさを永遠に“○○ボックス”滋賀県バージョン ― 豊かなびわ湖を守るため何ができるかを考える ―」を取材しました。

 「“○○ボックス”滋賀県バージョン」とは、32個のボックスを使用して、琵琶湖のスケールやその豊かさを学ぶことができる教材のことです。この日は大津市立仰木小学校の小学5年生14名が受講しました。秋にびわ湖フローティングスクールで学習船「うみのこ」に乗船する子どもたちの事前学習として、小学校から出前講座の依頼がきたそうです。滋賀県地球温暖化防止活動推進センターの方々が去年新たに開発した見た目にもオリジナルなこのボックス、一体これから何が始まるのだろうと、授業開始前から子どもたちも興味津々です。

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 まずは、琵琶湖ってどんな湖かな?みんなが知っていることを言ってみよう!と、講師である滋賀県地球温暖化防止活動推進センター推進員が呼びかけると、「日本で一番大きい湖」「日本で一番古い湖」「魚がたくさんいる!」など次々に声があがります。

 「琵琶湖は誕生してからおよそ400万年。人類の誕生が200万年前、人類が現在のようなホモ・サピエンス姿形一系列になったのが3万年前ですから、私たちの想像を遥かに超える長い歴史があります」と推進員が説明します。


“○○ボックス”のこの面は琵琶湖の断面図を模式的に示しています。

 「琵琶湖の面積は670平方キロメートル。滋賀県全体の約6分の1と、湖としては日本最大の広さを誇ります。大津市今堅田から守山市今浜町には琵琶湖大橋がかかり、一般にこの橋を境に北湖と南湖に分けられます。北湖の面積は南湖の約11倍あり、平均の深さは北湖が約43メートルであるのに対し、南湖は約4メートルです。北湖の一番深いところではなんと104メートルもの深さがあります」

 「琵琶湖の水は、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県へ供給されており、近畿地方に住むおよそ1450万人の生活と経済的発展を支えています。元をたどると琵琶湖とその集水域に降った雨や雪が、大小約460本の河川から流れこんだものです。同時に、私たちの生活排水や農業排水も全て琵琶湖に流入しますから、住民一人ひとりができるだけ琵琶湖を汚さないよう日々行動することがとても大切です」

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続けて“○○ボックス”をくるくるっと動かすと・・・



じゃーん!!面が変わり、夏の琵琶湖に棲む生き物たちが現れました。思いがけない動きのある教材に、子どもたちも「おぉっ」と好反応。“○○ボックス”を使いながらの説明が続きます。

 「琵琶湖には数多くの種類の生物が生息していて、これまでに報告されている水生生物はなんと1000種を超えます。また、400万年という長い歴史の間に独自に進化し、世界中でここにしか生息していない固有種と呼ばれる生き物も60種余りいます」

 「多様な自然環境をもつ琵琶湖には、生物どうしが互いに密接な関係を保ちながらつくりあげてきた豊かな生態系があります。そこにはプランクトン、水生植物、貝類および魚類など多種多様な生物が棲んでおり、これらの生物の間に複雑な食物連鎖がみられます。植物プランクトンは太陽の光が届く湖の表層で水中の栄養分を取り入れ、光合成を行い増えていきます。植物プランクトンは、動物プランクトン、いろいろな稚魚や魚、スジエビやテナガエビなどのエサとなります。ミジンコなどの動物プランクトンは、コアユ、イサザ、ホンモロコなど小さな魚や様々な稚魚のエサとなります。そして小さな魚やエビ類は、ビワマスやハスなどの大きな魚のエサになります」

“○○ボックス”を一つずつ見てみると・・・
1段目:オオバナミズキンバイ、植物プランクトン、ヒシ、オオヨシキリ、アオサギ、カイツブリ、ノシメトンボ
2段目:ヨシ、ネジレモ、ワタカ、オオクチバス、ブルーギル、ビワコオオナマズ、ニゴロブナ
3段目:セタシジミ、イワトコナマズ、ホンモロコ、アナンデールヨコエビ、ビワヒガイ
4段目:ビワオオウズムシ、ビワヨシノボリ、イサザ、アナンデールヨコエビ、ビワマス

・・・外来水草や水鳥、外来魚や固有種の魚まで実に多種多様な動植物の写真がちりばめられています。説明を聞いているうちに、1段目は湖上もしくは水面近くに生息する生き物たちであり、2段目から4段目にかけて、琵琶湖の深さに応じて異なる生物相を表現していることがわかります。


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続いては、冬のびわ湖に棲む豊かな生物と多様性の面です。

1段目:カイツブリ、ユリカモメ、オオヒシクイ、カンムリカイツブリ、コハクチョウ、マガモ、ホシハジロ、ヒドリガモ
2段目:タテボシガイ、ネジレモ、ブルーギル、セタシジミ、オオクチバス、ビワコオオナマズ、ビワマス
3段目:セタシジミ、イワトコナマズ、ホンモロコ、ビワヒガイ、ビワマス
4段目:ビワオオウズムシ、ニゴロブナ、イサザ、アナンデールヨコエビ、ビワマス

 「水鳥の名前がたくさん挙げられていることに気付きますね。琵琶湖には1年を通して湖面を飛び交う多くの水鳥が見られます。特に冬にはたくさんの渡り鳥が飛来し、湖が水鳥の楽園のようになります。その理由は、エサが豊富にあり、安全に住めるからです。渡り鳥がたくさんいるということは、琵琶湖が健全であるという証拠でもあります。この時期にはコハクチョウや国の天然記念物であるヒシクイ、マガモも見られます」

 「滋賀県では今から約40年前(1971年)に琵琶湖全域が鳥獣保護区の指定を受け、また、約20年前(1993年)にラムサール条約登録湿地に選ばれ、琵琶湖が水鳥の楽園となるよう保護に努めてきました。その甲斐あって、水鳥の数は次第に増えてきています。しかし近年、湖岸に捨てられたごみ、釣糸や針などで水鳥たちが怪我をするなど、安心して暮らしにくくなってきているという問題もあります」

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次は、琵琶湖やその周りで起きている様々な問題を表現する面が出てきました。

魚の産卵場所の減少、稚魚のすみかの減少、外来種ブルーギル、ブラックバス)の増加、魚種や漁獲量の減少、琵琶湖深層域の溶存酸素量の減少、琵琶湖の水質の悪化、野生動物のエサの減少等々・・・日々いろんな所で変化が起きていますが、それぞれの問題には実に様々な原因が複雑に絡まりあっています。

 「例えば、魚の産卵場所の減少、稚魚のすみかの減少の理由の一つに、琵琶湖と田んぼのつながりが失われたことが挙げられます。昔、琵琶湖の周りの田んぼは、エサのプランクトンが豊富で外敵が少ないため、ニゴロブナやナマズなどの魚にとって絶好の産卵・繁殖場所でした。大雨が降ると、琵琶湖から魚たちは水路を通り田んぼに上って産卵し、やがて生まれた稚魚はしばらく田んぼで育って琵琶湖へ下り、広大な琵琶湖で大きく成長して親となり、産卵のため再び田んぼに戻ってくるという生活を繰り返していました。しかし現在はどうでしょうか。昔は琵琶湖と田んぼをつないでいた水路が、田んぼの整備が進むにつれて魚が上れない形となってしまい、そのうちに田んぼでは魚たちの姿が見られなくなってきたのです。滋賀県では2006年から、かつてのように琵琶湖と水田の間を魚たちが行き来でき、人も生き物も安心して暮らせる田んぼの環境を取り戻す取組を進めていますが、まだまだ時間がかかります」

 「(写真)右の方の、リング状に積まれた7つのボックスを見てください。それぞれのボックスには琵琶湖、元気に泳ぐ魚たち、人間の暮らし、豊かな山林やそこを流れる川、冬に琵琶湖水の表層と深層の酸素濃度がほぼ同じになる『琵琶湖の深呼吸』【注】の絵が描かれています」
【注】琵琶湖の深呼吸:溶存酸素を多く含んだ表層水が寒さで冷えて深層に沈み、全循環が起こることを指す。この現象で湖底部分も生物が住みやすい環境に回復することが、湖の生命にとって大切なサイクルと考えられている。全循環現象とも呼ばれる。



児童に前へ出てきてもらい、リングからボックスを一つ抜いてもらうと・・・

あっという間にリングはバラバラと崩れてしまいました。

 「現実の世界もこのリングと同じく、各パーツが揃ってはじめてバランスがうまく保たれ、機能しています。どれか一つのパーツが欠けるだけで、たちまち困ったことになります。どこかで何か一つ変化が起これば、影響は思わぬところにも広がり、全てを元通りにするのは大変な時間と労力がかかります。だからこそまず、私たちが琵琶湖への関心と理解を深め、自然を守り、地球環境について考え、実践することが求められるのです。それでは今から、私たち一人ひとりが個人で、家庭で、学校で、地域でどのように考え行動すればいいかを考えましょう」

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ここからはシンキングタイム。これまでに学んだことをもとに、自分ができること、みんなでできることを考えて付箋に書きこみます。

「発表する人?」と声が掛けられると、みんな元気に手を挙げてくれました。

一人ひとりがしっかりと自分の意見を述べます。
 「琵琶湖で釣った魚を再び放さないようにする」「琵琶湖に生きる魚の命を食べるからには、残さずに食べる」「琵琶湖にゴミを投げない」「家族と琵琶湖について話す」と、すぐに取組める具体的な行動を挙げる子もいれば、「みんなが琵琶湖の水を飲んでいるから、水を汚さない努力をする」「琵琶湖の水がなくなったら大変。水の無駄づかいをせず、大切にする」「琵琶湖にいっぱい生き物が住めるようにする」「自然破壊をしない」と、みんなが力を合わせていかないといけないことを発表する子、そして、「山から流れてくる川の水も琵琶湖へとつながるから、山も大切にする」と、琵琶湖の周りにある環境の大切さを発表する子もいました。


思いを込めて書いた付箋を“○○ボックス”に貼っていきます。


全員分の付箋が揃ったところで、推進員が“○○ボックス”を木枠にはめていきます。まだ何か仕掛けがあるようです。


32個のボックス全てを木枠にはめて、付箋が貼られた面をゆっくりひっくり返すと・・・


どーん!!琵琶湖の大きな大きな一枚絵が現れました。見事に並んだブロックに拍手が起こります。

 「今日みんなが学んだことや書いてくれた言葉が実行され、その輪が広がっていけば、この碧く美しい琵琶湖を守っていくことができるはずです。これからもフローティングスクールに向けての学習を深めていってくださいね」との推進員の言葉に、みんな真剣な眼差しでうなずいていました。

 当プログラム「びわ湖 ― 美しさと豊かさを永遠に」“○○ボックス”滋賀県バージョン ― 豊かなびわ湖を守るため何ができるかを考える ― では、“○○ボックス”が持つ動きの意外性が存分に活かされ、最後まで子どもたちを惹きつけていました。びわ湖フローティングスクールの事前学習や事後学習にもぴったりの充実した内容になっているので、おすすめです。

取材:環境学習推進員 布川 恵理