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学習プログラム 取材記録 取材日:2015/05/31
プログラム名 148.里山保全体験型学習〜木を伐って里山を守ろう〜
プログラム登録者 A0503.NPO法人 遊林会
目的 実際に里山を守るという活動を通して、受け身ではない、中身の濃い自然体験ができる。また、体験を通し、里山に代表される人間と自然との共生に気づくことができる。
2000年5月に組織されたNPO法人「やまんばの会」に、滋賀県ガールスカウトの団体が里山保全体験に来ましたので、その具体的な作業内容を取材しました。


(写真左から:やまんばの会、活動拠点、体験プログラム

 「やまんばの会」が提供しているプログラム『里山保全体験と環境学習(木を切って自然を蘇らそう)』は、1.里山の現状を見る、2.木を伐採して明るい森にする、3.伐採した木を活用する、4.ふりかえりの四部構成となっています。
今回の団体は13年以上同じプログラムを続けているので、活動拠点の山小屋には集まらずに直接活動場所に移動していました。
ふもとの駐車場から作業場所までは少し距離があり、薄暗い山道の谷側は竹林が続き、山側は雑木林です。人声が全くしないので少々心配になったところで、賑やかな子どもたちの声が聞こえてきました。
大人4名、子ども20名(小2年生から中1年生まで)のグループが安全に関する注意を受けた後、それぞれの作業分担(竹の伐採と伐採後の竹の搬送)に散るところでした。
全員ヘルメットに軍手を着用し滑りにくい靴と露出部分の少ない服装で、山作業の準備万端です。

      
(写真左から:活動場所へ続く山道、子供たちがいました、それぞれの場所へ移動)

今回の作業は竹の伐採です。谷川の竹林からの地下茎が山側の桜の植林にまでのび、結果として、あちこちで伸び放題になっている若竹を伐採します。スカウトたちは学年に関係なく手に伐採用のこぎりを持って、次々と藪に入っていきます。そして高学年の経験者が低学年の後輩の手助けをしている様子もよく見かけました。
作業は竹切りと伐採後の竹を下に運ぶ作業の二種類ありますが、どちらかといえば竹を切る作業の方が楽しいように見えました。
特に低学年生はたくましく、直径10cmを超える竹に挑戦していました。竹を切るという普段経験できない作業がとても好きなようでした。
伐採後の竹を運ぶ作業は、竹が長くて重いので切る作業よりも大変です。大勢で力を合わせていったん広い場所まで運びだし、午後から下に運びます。それでも長すぎて扱いかねる竹は、のこぎりで半分ぐらいに切りました。
       

(写真左から:藪にどんどん入ります、登るのを手伝って、太い竹を切ります)


(写真左から:背高の竹は三人がかりで、太く長い竹は大勢で、一生懸命支えます)

作業に関して指導員はなるべく手助けをしないで、子どもたちの自主性に任せます。

午前中の作業はここまでで、昼からは伐採した竹をチッパー(粉砕機)のある場所まで運びおろします。雑木林の枝のあちこちが揺れて子どもたちが現れますが、林に分け入る時よりも出てくるときの方が難しいようで、大人のリーダーが藪からの脱出を手伝っていました。


(写真左から:全員で運び出す、一人で一気に三本持つ、 下りは登るより難しい)

昼食はスカウト弁当というもので、おにぎり二個のシンプルなものです。このおにぎりに「やまんばの会」が準備した「やまんば汁」がふるまわれ、全員美味しそうに食べていました。もちろん重労働の結果お腹ぺこぺこですので、お汁のお替りの列ができました。

(写真左から:いただきますの歌で開始、「やまんば汁」の準備、お汁待ちの行列)

「やまんば汁」をいただくのに使った食器は、同じ敷地内にある炊事場できれいに洗って食器置き場にもどします。


(写真左から:リーダーは一番最後に、昼食後の休憩風景、炊事場です)  

子どもたちが昼食をした場所のわきには池があり、夏はカヌー遊びもできます。ただ残念なことに、この池にも心無い釣り人がブラックバスを密放流したのです。池の水を抜いて駆除したら、何と大きな魚かごに三杯もとれたそうです。よりによって環境保全を行っている場所で、個人の楽しみのために環境を破壊するといった行為は残念です。


午後の作業のため、子どもたちは3-4人のグループになって作業場所へ戻ります。全体で二組に分かれて作業しますが、竹の伐採をもっとやりたいという組と伐採した竹をチッパー(粉砕機)に運ぶ組ができました。午後の作業を開始する前に、全員がもう一度安全に関して指導員から説明を受けます。
 
(写真左から:グループになって再び山道を、午後の作業の説明を受ける、全員しっかり聞きます)

特にチッパー(粉砕機)は危険な機械ですので、投入口正面に立たない、竹を投入したらすぐに手を放すなど、細かく注意を聞きました。

チッパー(粉砕機)がカバーを外されて姿をあらわし、竹を投入しやすい場所まで移動させます。指導員が試しに竹を一本粉砕口に投入し、いかに危険かを参加者全員に周知させました。実際のところ、けたたましい騒音と粉砕中の竹の暴れ具合は、想像以上でした。


(写真左から:粉砕機の口の閉じた状態、粉砕機の口に竹を投入、くだける竹は暴れます)

さて低学年メンバーは竹を切るのがおもしろいのか、2-3人のグループになって雑木林に分け入って行きました。手前の竹は殆ど伐採してしまったので、奥の方へどんどん進んでゆきます。作業終了の点呼がかかったとき、雑木林の奥の木々が揺れて子どもたちが次々と現れてきたのは、少々おもしろい光景でした。また、朝方は竹の枝でうっそうとしていた山道の周りがすっきりし、空の明るさが戻ってきました。
    
   

(写真左から:低学年は竹切りへ、作業終了で現れる子どもたち、すっかり明るくなった林)

一方の竹チップを作るグループは、伐採した竹をどんどんチッパー(粉砕機)のところまで運びおろし、投入してゆきます。みるみる竹チップの山が高くなってゆきました。後ほど指導員の方に聞きましたが、やる気を維持するうえで自分たちの作業の成果が目に見えるということはとても重要なことだそうです。
    

(写真左から:持てるサイズの竹を持って、粉砕機待ちの列、竹チップの山が見える)


(写真左から:竹をどんどん投入する、青い竹は青いチップに、本日の作業の成果はこの山です)    

終了の点呼の後、メンバー全員が集まり、道具の後片付けを行いました。
続いて指導員の講評を受けます。その後最寄りの駅へ移動するため、本日の活動の成果である竹チップの山を横に見ながら、山道を下ってゆきました。


(写真左から:低学年は山から、指導員の講評を聞く、竹チップの山を横に見ながら)

ふりかえりは最寄りの坂田駅で、電車待ちの時間に行いました。本日の作業を指導して下さった各指導員の話を聞き、ガールスカウト団体のリーダーがお礼の言葉を述べます。子どもたちは最後までだらけることなく、きちんと団体行動をしていました。このあたりに里山経験活動を通じで身に付けた、自主性とマナーの良さを感じます。

(写真左から:坂田駅前でのふりかえり、お別れのあいさつ、竹の切り株)

ガールスカウト団体の活動の合間に、やまんばの会の廣瀬事務局長に里山保全体験のプログラムについてお話をうかがいました。

「やまんばの会の里山保全体験には若者たちのグループもよく参加しますが、持久力があまりありません。大体午前中の作業でエネルギーを使い果たします。その点ガールスカウトの子どもたちは、自分たちの活動の成果が竹チップになるということを知っているので、粘り強く活動を続けます。今回作った竹チップは、草津市の農家の方が畑の肥料に試してみるということで、明日引き取りに来ます。そのまま畑にまくと竹のでんぷんなどが土の中で発酵し、地中温度を上げて土の中の良い菌を殺すので好ましくありません。そこでいったん畦道にまいて、発酵済みのものを畑にまくそうです。
やまんばの会の活動はもう15年になりますが、組織を維持してゆく後継者を見つけるのが難しいです。後継者を集めるためには、活動に何かメリットがあればよいと思われます。たとえば森林整備後にできる間伐材を利用した、まきストーブ用のまきなどです。こういった楽しみもあった方が、色々な人の参加も期待でき、活動の継続性が高まると思います。」

【取材者の感想】
今回の取材を通じ「やまんばの会」が提供する里山保全体験プログラムが、子どもの自然に対する感受性と自主性を高め、ひいては仲間同士の助け合いや先輩・後輩の良い連携の心を育てているのではないかと思いました。
また体験を希望する団体は毎年新しいメンバーが加わって若返ってゆきますが、プログラムを提供する側は年齢がどんどん上がってゆき、運営が大変になってきているという現実も感じました。