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学習プログラム 取材記録 取材日:2009/02/18
プログラム名 358.昔の暮らしを体験しよう
プログラム登録者 A0415.滋賀県立琵琶湖博物館 交流担当
目的 昔の民具の使用体験を通して、農村の昔のくらしや文化について知ることにより、自然と生活のかかわりを考えます。
琵琶湖博物館で「昔の暮らしを体験しよう」を取材しました。

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 2月のよく晴れた日、近江八幡市立岡山小学校の3年生2クラス38人の児童が開館時間と同時に別棟の民家風建物、「生活実験工房」の前に集合しました。これから約1時間の体験学習が始まります。

    生活実験工房正面

 指導は、博物館職員の主査中野正俊さんと、嘱託員上田康之さん。

<はじめに>
 工房前に整列した子どもたちに中野さんからの質問です。
「博物館の中には、ここと同じような昔の建物で「冨江家」が展示されています。さて、どちらが本物でしょう。理由と合わせて答えてください。」
「目の前の建物は、ほんとうに昔使っていたものではないと思います。防犯カメラやダウンライトがあるから。」と回答する子。そのとおり、ここは体験学習用に作られた建物であると紹介されました。
 一方、博物館の中の冨江家は昭和39年に彦根市の民家を移築してきたもので、ここでの体験学習の後に見学します。
      工房前に集合 
     
 38人の児童は、あらかじめA,B,Cの3つのグループに分かれています。

 石臼で粉引き、足踏み脱穀機、手押しポンプの3つの体験をグループ単位で順に行います。グループの体験順が決まったところで、さあ、始まりです。

■□■体験工房の中は
 Aグループは、石臼、足踏み脱穀機、手押しポンプの順です。工房に入ったところは、広い土間、その奥にはいろりのある部屋、左手にはかまど、右手には農機具がおかれています。
 子どもたちは、初めて見る家の中の様子にわくわくの表情です。
      工房の中の様子
          

■□■石臼ひき体験します
 石臼の粉ひき体験はいろりの部屋で行います。石臼を囲んでグループの全員が座りました。
 まず、上田さんから石臼は何をするものか?の質問。大豆、米、小麦などをすりつぶすのに使うもの。では、石臼ができる前にはどうしてつぶしていたのか? 石の上にお米を置いて石ころでこんなふうに石ころで叩いて粉にしていたと示されました。石ころで叩いていたのでは時間をかけても少ししか粉にできないこと、石臼でひくようになってからは効率よく粉にできるようになったことが理解できたようです。
      石臼ひきについて説明    
          
 「お米の粉は何粉というのか?」の質問には、答えられる子どもがいません。お米は上新粉、大豆はきなこ、小麦は小麦粉、さらにそばはそば粉と4種類の粉を教えられました。きなこや小麦粉はなじみがありますが、団子などに加工される「上新粉」は初めて聞く子どももいるようです。 
    
 ひき方の説明を受け、順番に石臼を回して石の上に置かれたお米を粉にします。
 石臼は子どもにも回せるように、実際のものよりもひと回り小さめに作られています。それでも容易には回せません。時計と反対の方向に回すというルールに従って、お米を石臼の穴に適宜落としてもらいながら、全身の力を込めてハンドルを回します。上下2つの石を合わせた臼の間から、お米が粉になって出てきます。「重いなぁ」と言いながらも、自分の手で回した石臼の間から粉がこぼれると子どもたちは得意げな表情です。
      石臼ひき体験    

■□■つぎは脱穀機体験です
 足踏み脱穀機の体験。ここでの指導は、中野さん。
@脱穀→(もみ)→A皮をとる<もみすり>(玄米)→B<精米> という白米にする過程をサンプルで教わります。
      白米になる過程のサンプル    

◇◆千歯こき◆◇
 江戸時代の脱穀の方法として、20本ほどの刃と刃のすき間に稲を差し込んで脱穀する「千歯こき」。これを用いた脱穀は力が必要で1回では少量しかできず、何回も繰り返さなければならないことが紹介されました。
      千歯こき    

◇◆足踏み脱穀機◆◇
 その後考案されたのが、足踏み脱穀機。これは全員が体験できます。踏み板を踏むとV字型の針金が無数についた円筒型の胴体が回転し、これに稲を回しながら置いて脱穀する機械です。子どもたちは整列し、順番を待ちます。
 千歯こきよりは一度にたくさんのもみをとることができるけれど、多くの稲を処理するのはやっぱりたいへんだということが体験をとおしてわかったようです。
      足踏み脱穀機    
             
          
◇◆とうみ(唐箕)◆◇
 隣にある大きな用具はとうみ。これは、脱穀したもみに混じっている藁やゴミと、もみをより分ける用具。手回しハンドルを回して風を起こし、穀物を風力によって選別するものであると説明されました。
      とうみ    

 子どもたちは、風が送られてくるところをのぞき込み、実際に送風されていることを肌で感じました。
    「とうみ」をのぞき込む子どもたち    

◇◆手押しポンプ◆◇
 3つ目の体験は手押しポンプ。指導は、この日引率の校長先生。
 「見たことある」「畑にある」という子どももいますが、使ったことはないようです。ガシャ、ガシャ押してみても水が出ないのは、ポンプ内の水がなくなって「呼び水」(誘い水)が必要な状態。バケツでポンプに呼び水を入れると勢いよくでるようになりました。子どもたちは繰り返し手押しポンプで水を出し、うれしそうな表情です。
      手押しポンプ    

■□■体験をふりかえります
 約1時間後、3グループ全員が3つの体験を終え、みんなでふりかえりをします。
 中野さんから「今日の体験を通して、昔の人たちはどんな気持ちで作業をしていたと思いますか。」との質問。
子どもたちからは、「面倒だった、たいへんだったと思っていた。」と否定的な声がありました。
 そこで、中野さんは「みなさんの言うとおり、当時の人たちは、力もいるし、時間もかかってたいへんだったと思います。ただ、毎日、面倒だ、たいへんだと思いながら暮らしておられたと思いますか。」と追加質問。答えに窮した子どもたちへ、「みなさんが体験した手押しポンプ、出回る前はどのように水をくんでいたでしょうか。」
「川から水をくんで、運んでいたと思います。」
「井戸の水を桶でくんで、手押しポンプよりもたいへんだった。」
との答えを受けて、中野さんは、「そのとおりです。川や井戸から水を汲むことに比べれば手押しポンプでの作業はずいぶん楽になったことでしょう。たしかにお年寄りの方々に昔の生活はどうでしたかとインタビューすると、『昔はたいへんだったよ。』とおっしゃることがあります。それは、今と比べてたいへんだったと言われているのであって、手押しポンプが出始めた頃のように、実際はそう思われてなかったかも知れませんね。そもそも何と比べてたいへんなのか、あるいは楽なのか、幅広く考えてみてください。」と結ばれました。
      ふりかえり    

 子どもたちは石臼体験でできた上新粉をおみやげにいただきました。
    袋の中はできあがった米粉(上新粉)    

 このあと博物館内の「冨江家」展示を見学するため、博物館に移動しました。

■□■取材者からひとこと■□■
 取材者にとっては懐かしいたたずまいの民家ですが、子どもたちにはもの珍しく、新鮮な風景だったことでしょう。時間と手間がかかっていた昔の生活を体験したことで、今の日常生活の便利さを振り返ることができたと思います。
 おみやげにいただいた米粉はほんの少量ですが、自分たちがひいた粉でできる団子の味は格別なものになるでしょう。  (環境学習推進員 山本 悦子)