滋賀県の環境学習情報 エコロしーが トップに戻る

ホームページの使い方サイトマップ滋賀県環境学習センター滋賀県 これからの催し環境へのとりくみ環境データ環境学習をめぐる動きその他
google
滋賀県の環境学習情報 エコロしーが トップに戻る はじめての方へ 学習プログラム 教えてくれる人たち 学べる場所 環境学習講座

図書・ビデオ類の貸し出し

トップページ取材記録パックナンバー>学習プログラム 取材記録
取材記録 バックナンバー
学習プログラム 取材記録 取材日:2006/02/07
プログラム名 159.バイオディーゼル燃料化体験出前授業
プログラム登録者 A0512.滋賀県立八幡工業高等学校 環境化学科
目的 給食などで利用されたあとの、廃食油をBDFとして蘇らせ、燃料として利用する体験をすることにより、
 ・資源循環について理解する。
 ・使ったもの(油)を大切にする気持ちを育てる。
 大津市立真野小学校で行われた「バイオディーゼル燃料化体験出前授業」に行ってきました。
 この出前授業は、「菜の花で『うみのこ』を動かそうプロジェクト」の一環で、廃食油(なたね油)からバイオディーゼル燃料を作り、エンジンを動かすことを体験する授業で、県立八幡工業高等学校 環境化学科の大前先生、国松先生、秋山先生の3名が実施されました。
 「菜の花で『うみのこ』を動かそうプロジェクト」は、児童が自分たちで「なたね」を栽培・採油し、給食でてんぷら油として利用し、廃食油を精製して県の環境学習船「うみのこ」の燃料にしよう、というプロジェクトで、県内全小学校で取り組まれています。                                              (環境学習推進員 平島)

 
 廃食油からバイオディーゼル燃料を作りカートを動かすまでの流れ

◇◆プログラムの概要(真野小学校バージョン)◆◇

●学習時間 第2校時〜第4校時(45分×3校時)
●活動単位 6〜7名×10班
●内容と所要時間
 1.学習内容の説明 5分
 2.バイオディーゼル燃料の製造方法の説明 5分
 3.バイオディーゼル燃料の製造体験 70分
  (1)準備(原材料を準備する)
  (2)反応工程  (原材料を混ぜる)
  (3)分離工程1(20分間静置する)
  (4)分離工程2(上層部の液を取出す)
  (5)精製工程(取出した液の不純物を除去する)
 4.作ったバイオディーゼル燃料でエンジンを動かす 65分
  (1)エンジンテスト
  (2)試乗体験
 5.まとめ(他のグループの試乗体験中にまとめる)


◇◆プログラムの内容(真野小学校バージョン)◆◇

1.学習内容についての説明
指導者が、今回の学習の一連の流れをパワーポイントを使って説明します。児童が取り組んでいる「菜の花で『うみのこ』を動かそうプロジェクト」の一環であることが実感できるよう「これまでの活動の感想」などの質問を投げかけながら進められていました。

  いままでの活動の振り返りを熱心に聴く児童たち
 
2.バイオディーゼル燃料の製造方法の説明
製造の4工程(仕込み、反応、分離、精製)についてプリントに沿って説明されました。また、燃料の製造に使用する薬品の取り扱いの注意事項についても説明されました。


(以下、○:児童がする作業 ●:指導者の指導内容 *:注意すること)

3.バイオディーゼル燃料の製造体験
(1)準備
 ・廃食油と触媒をビーカーに入れて準備します。
 ・廃食油(植物油)は、分子構造が長い鎖のような状態になっていてドロドロしているので、これを燃料として利用できるサラサラの状態に変えるため、長い鎖を切る必要があります。この鎖を切るのが触媒の役割です。出前授業では、触媒として、KOH(水酸化カリウム)とメタノール(メチルアルコール)の混合液を使います。
 *触媒は、KOH(強いアルカリ性)とメタノールの混合液で危険なので、観察時は触らずに横から見るだけとします。

○原料(廃食油と触媒)についての説明を受け、臭いや色などの様子を観察します。

●廃食油はどんな臭いがするか児童に聞くと、「テンプラの臭い」や「魚の臭いがする」などの声があがっていました。

  保護めがねをかけての観察

(2)反応工程
 ・ドロドロの廃食油に触媒を入れて、化学反応させてサラサラに変える工程です。
 ・廃食油に触媒を入れた直後は「廃食油」と「触媒」の2層になります。
 ・撹拌(かくはん)して反応が進むと、色がオレンジ色に変わりバイオディーゼル燃料になるものとグリセリンができます。

○ビーカーの触媒を廃食油のフラスコに入れて、2つの原料を混合し反応させます。混合のため、撹拌用のスターラー(磁石の撹拌子)を用います。

○反応を促進するため60℃のお湯(恒温槽)に入れて撹拌しますが、混ぜた直後の様子や、その後の変化を観察します。
 恒温槽での変化を観察する児童たち

 恒温槽での様子

●スターラーでの撹拌の仕組み(磁石で撹拌子をまわし廃食油をまぜる)を説明します。
*原料を混合する際は、保護めがねを着用し取り扱いに注意します。

(3)分離工程1(静置)
 ・混合液をしばらく置いておき、燃料として使えるものと副産物のグリセリンの2層に分離させる工程です。

○撹拌を止め恒温槽から取り出し20分ほど静置します。60℃のお湯(恒温槽)から取出したときの液体の色を確認します。

●静置の時間約20分を利用してバイオディーゼル燃料の特徴と海外での動向についての説明をします。その後、休憩を取ります。

(4)分離工程2(上層部の液を取出す)
○分離の様子を確認します。燃料になるものとグリセリンの2層に分かれるのを確認し、上層の液(燃料になるもの)をビーカーに移します。

(5)精製工程
 ・取り出した液体(燃料になるもの)には不純物などが含まれているので、取り除いて精製する工程です。

○酸性白土(吸着剤)を加えてかき混ぜ、吸引ろ過して燃料を精製します。→燃料ができあがります。
 酸性白土を入れて混ぜる様子
 吸引ろ過器でのろ過

 
4.作ったバイオディーゼル燃料でエンジンを動かす
(1)エンジンテスト
 ・できあがった燃料をディーゼルエンジンに給油し、エンジンを始動させます。(エンジンが動き続ければ大成功。)エンジンが動きだすと、子どもたちは「テンプラの臭いがする」などと言っていました。
 エンジンがかかりました

 ・次に、排ガスの様子を観察します。排気口に布をかぶせ黒煙の発生を比較します。前もって準備しておいた軽油の排ガスで汚れた布と比べて、バイオディーゼル燃料の排ガスを色の違いで示します。
 バイオディーゼル燃料と軽油の排ガスの違い

(2)試乗体験
 ・カートでデモ走行しカートの試乗体験をしてもらいます。運転は担任の先生がするといいでしょう。
 
 ・いよいよカートが動きます。児童には一番楽しいひとときです。


5.まとめ
試乗体験している間に、残りの班は今日の授業の内容を振り返り、感想を書きます。


【取材者からひとこと】
 回数を重ねてこられた出前授業は、実験もスムーズに行われ、資料や解説もわかりやすく良い内容でした。実験の要所では、臭い・色などの変化を観察するなど化学の面白さも交えた指導があります。
 実験器具は、手作りのものが多く、化学反応の様子や燃料とエンジンの関係などが児童にも理解しやすいように工夫されていました。中でも「エコカート」はゴルフ場のカートを無料提供してもらい、八幡工業高校の生徒とともに、ディーゼルエンジンに乗せ替え改造したそうです。
 バイオディーゼル燃料という題材は、廃食油を捨てずに燃料として利用すること(リサイクル)、化石燃料でなく植物油脂からの燃料なので生物にとって害の少ない排ガスであること(低公害型燃料)、さらに生産することができる燃料であること(持続的な供給が可能な燃料)などが学べます。しかもこの授業では、廃食油から燃料を自分でつくってカートを動かすという体験を通じて自分たちの日常生活との関わりを実感できる工夫がなされています。
 「菜の花で『うみのこ』を動かそう」プロジェクトの内容をより深めるものとしてたいへん効果的であると感じました。

●「バイオディーゼル燃料」に関連するその他のプログラムはこちら 
 ★「あいとうエコプラザ菜の花館」さん提供 →http://www.ecoloshiga.jp/I_report/index.php?act=dtl&type=lnk&id=104
 ★「油藤商事株式会社」さん提供 →http://www.ecoloshiga.jp/I_report/index.php?act=dtl&type=lec&id=111

●活動表彰
 八幡工業高校は、近江八幡市内の小学校や地域イベントでも出前講座をされていて、地元の小学校では生徒が児童に実験指導を行っています。このような出前授業の活動や自作エコカートの取り組みなどが評価されて、
下記のとおり表彰されました。

 ★新エネルギー大賞 優秀普及活動部門 審査委員長特別賞(財団法人新エネルギー財団)
  →http://www.nef.or.jp/award/kako/h17/p08.html
 ★平成17年度地球温暖化防止活動環境大臣表彰 環境教育・普及啓発部門 環境大臣賞(環境省)
  →http://www.env.go.jp/press/press.php3?serial=6560