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学習プログラム 取材記録 取材日:2012/01/17
団体名・名前 A0510.琵琶湖草津湖岸コハクチョウを愛する会
比良山からの寒い風が吹き下ろす1月の中旬、草津の湖岸で活動しておられる「草津湖岸コハクチョウを愛する会」を訪問しました。
「今日は、コハクチョウが7羽、久しぶりに来てくれたのよ」と笑顔で話す事務局長の吉岡さん。そう、会は琵琶湖の冬の使者であるコハクチョウをテーマに活動しておられます。取材した当日は、コハクチョウが飛来し、コハクチョウ好きの方や、写真愛好家、たまたまドライブ中に立ち寄った方などが30名近くおられました。その来訪者一人ひとりに声を掛けつつ野鳥の観察と、お忙しくされる中、お話を伺いました。

■この冬のコハクチョウの飛来などの様子はいかがですか?
(吉岡さん)
コハクチョウは、ロシア極東部からやってきます。この冬は2011年11月27日に2羽がこの草津の湖岸へ初めて飛来し、そして12月10日から一週間ほど連続して来ていました。その後しばらく姿を見せずにいたのですが、1月から時折姿を見せ、今日(1月17日)に久しぶりに姿を見せたのです。7羽がここ7年ほど毎年連続して姿を見せてくれています。1月9日には19羽飛来し、そのうち9羽が幼鳥でした。親が子どもを連れてきてくれたことをうれしく思います。
コハクチョウは、だいたい朝8時頃に草津の湖岸にやってきて、湖岸の水中の水草を探して食べたりして、15時半頃まで過ごしています。会のメンバーで手分けして観察した結果、高島の水辺で夜を過ごしているようです。そのねぐらから朝は36分で飛んで来ます。堅田の水辺にいる時は6分でやって来ます。


コハクチョウを始めとする野鳥たち

■コハクチョウや野鳥を常に観察しておられ、琵琶湖の変化に気づかれたことはありますか?
(吉岡さん)
だんだんと草津の湖岸へ来るコハクチョウの数が少なくなっています。一番の理由は、水草が食べにくくなっていることかと思います。洗堰の水位調整で、フナやナマズが産卵しやすい琵琶湖の環境が戻りつつあるのですが、草津の湖岸は水位が高くなってしまいました。そのため、コハクチョウの首が届く深さ以上に湖岸の水位が高くなり、底に生えている水草を採りにくくなったようです。また、夜は葦の間で隠れて眠るのですが、湖岸の工事などがあると落ち着いて休めないようです。コハクチョウは、環境の変化を学習して一度来なくなると、二度とその場に来なくなります。
以前は、10月の終わり頃から飛来して12月頃まで湖岸の湿地で過ごしていました。それが、最近はすぐに湖北の田んぼへ飛来するようになっています。琵琶湖はラムサール条約に登録された湿地ですが、湿地としての機能が減少していると感じます。常に餌が取れ、落ち着くねぐらのある琵琶湖であって欲しいと思っています。


餌を探すコハクチョウ

■野鳥の観察について教えてください。
(吉岡さん)
4年前から草津市や滋賀県の協力で、観察小屋を設置することができました。近くの常磐小学校の5年生が毎年来られ、コハクチョウを始めとする野鳥を目の前で観察してくれています。また、一般の方はアクセスの良さから、県外の方もたくさん来られます。近畿一円、北陸、中国地方からも来られています。コハクチョウの飛来数は少ないのですが、すぐ近くで観察できる良さもあるのだと思います。
取材日に観察された野鳥は、コハクチョウの他、ミコアイサ、ホシハジロ、キンクロハジロ、オナガガモ、スズガモ、オカヨシガモ、ヒドリガモ、カルガモ、ユリカモメ、カンムリカイツブリ、オオバン、カワウと13種でした。


寒い日も観察しやすい観察小屋
当日観察できる野鳥の写真も掲示しておられます。

■コハクチョウを愛する会の活動について教えてください。
(吉岡さん)
冬鳥がやってくる期間は、毎日志那中の観察小屋で活動を行っています。大晦日やお正月も、氷点下の気温の中、水しぶきが凍っている時も観察しています。毎日観察しているからこそ分かることも多く、飛べなくなったコハクチョウや野鳥を保護し、病気を治したり、からまった釣り針や釣り糸を外し治療したりしています。オナガやユリカモメの個体識別の研究にも協力しています。また、活動は冬だけでなく、水草が繁茂する夏場に、外来水草の除去をしたり、ゴミ清掃を琵琶湖に浸かって行ったりしています。全国ハクチョウ会議にも出席し、情報交換を行っています。昨年の東日本大震災では地震による影響が心配されましたが、大丈夫だったようです。来年度は滋賀県で全国会議を行えたらと思っています。


ゆりかもめの群れ

■これからの夢や希望を教えてください。
(吉岡さん)
幼稚園、小学校、公民館活動などでもコハクチョウについてお話していますが、子ども達から学ぶこともあります。そして、コハクチョウからも教えられることも多いです。鳥は文句は言いませんが、琵琶湖の環境に対してYES、NOははっきりと示します。草津では琵琶湖からの逆水利用や電線が多いなどの課題があるのですが、冬水田んぼができたらなぁと思います。湖北地域だけでなく、南湖でもコハクチョウや野鳥の生息湿地が増えて、琵琶湖全域で野鳥が安心して過ごせるようになって欲しいと思っています。


ねぐらへと帰るコハクチョウたち

■取材者から
コハクチョウは、観察している人を覚えるそうで、シーズン中は同じ格好で観察されている吉岡さん。吉岡さんもまたやってくるコハクチョウ全ての顔を見分け、家族も分かるとのこと。毎日観察するからこそ分かる自然、琵琶湖の変化を、コハクチョウを通じて皆さんに伝えたいという思いが、伝わってきました。皆さんもぜひ、湖岸へ足を運んでみませんか?(池田 勝)